高木眼科クリニック
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緑内障について
*緑内障疫学調査について
  最近、テレビや新聞など各種メディアで、よく緑内障が取り上げられます。緑内障は昔、『あおそこひ』といって失明につながる病気でしたので、皆さんも耳にされたことがあると思います。では一体どれくらいの人に緑内障がおこるのでしょうか?今回はこの話題について触れたいと思います。(この記事は昨年12月の日本緑内障学会ミニフォーラムにおける配布資料から引用したもので、日本緑内障学会の最終報告ではありません。)
2000〜2002年にかけて我が国で大規模な緑内障疫学調査が行われました。以前(1988〜1989年)行われた疫学調査(Shiose Study)では、40才以上の緑内障患者は推定3.56%でした。すなわち40才以上の方が100人いれば、3〜4人が緑内障をもっているということです。このデーター自体予想以上の有病率だったので、当時眼科医には驚きをもって迎えられました。しかし対象人数が少なかったこと、その後緑内障診断機器及び技術が進歩したことなどから、今回新たに疫学調査が行われました。(対象となった地域名をとってTajimi Studyとよばれています。)
結果をグラフ(表)に示します。
  グラフ1(表1)は、緑内障有病率(緑内障である人の割合)を受診者全体及び年齢別にまとめたものです。全体では5.93%、70才以上の方に限ると13.11%もの方が緑内障と診断されました。
 
 
(表1)
 40-49才50-5960-6970才以上合計
男(%)2.373.757.7211.845.85
女(%)2.252.448.06145.99
合 計2.33.027.8913.115.93
  グラフ2(表2)は、緑内障の種類により分けた有病率です。一番多いのは開放隅角緑内障といい、慢性の経過をたどることの多いタイプでした。緑内障というと一晩で失明するといったことを想像しがちですが、そういった古典的なタイプの緑内障はごくわずかでした。また、眼圧が高いだけで、まだ視野変化の出ていないタイプ(高眼圧症)も、0.8%に認められました。
 
 
(表2)
 全緑内障開放隅角緑内障高眼圧症その他の緑内障
男(%)5.514.210.61.3
女(%)6.093.710.942.38
合 計5.783.920.811.86
  グラフ3(表3)は、一番多いタイプである開放隅角緑内障を、眼圧上昇の有無で分けたデーターです。正常眼圧緑内障といわれる、眼圧は正常なのに緑内障性の視神経及び視野変化を来すタイプが非常に多い事が分かります。
 
 
(表3)
 原発開放隅角緑内障正常眼圧緑内障
男(%)0.423.79
女(%)0.243.48
合 計0.323.6
  <今回の調査から分かったこと>
緑内障と診断される患者数が、従来考えられていた以上に多かった。今回の緑内障全体の患者数は5.85%で、前回のShiose Study(3.56%)と比べ非常に患者数が多い結果となりました。特に年齢別に比べてみると、70才以上の方では13.11%と約10人に1人以上の有病率となっています。これは前回の調査と比べ検査がより詳しくなったこと、高齢化の影響などが考えられます。
正常眼圧緑内障が多い
緑内障の病型別にみると、正常眼圧緑内障とよばれる一群が3.6%と全緑内障患者の半数以を占めており、以前の報告(Shiose Study)より2倍近い割合となっています。正常眼圧緑内障とは、その名の如く、眼圧は正常範囲内(10~21mmHg)ですが、緑内障性の視神経変化、視野変化を  おこすタイプで、視神経自体の脆弱性(弱さ)が原因と考えられています。眼圧は正常ですから、一般検診で眼圧を測っても緑内障と診断されず、眼底検査・視野検査をして初めて分かる緑内障です。その為、最近発表された日本緑内障学会の『緑内障診療ガイドライン』でも、緑内障の定義から『眼圧の上昇』は除かれ、昔と比べ『緑内障』の疾患概念が変わってきています。
新規発見率が89%だった
今回の調査で、はじめて緑内障と診断された方が、89%もおられました。その理由としては、緑内障という病気自体が、中期〜末期まで進行しないと、なかなか視力低下・視野狭窄(見える範囲が狭くなること)といった自覚症状に気づきにくい病気であることが挙げられます。
また (2)で述べたように正常眼圧緑内障が多かったこともあります。このタイプは、眼圧だけでは分からないため、見過ごされることが多いと思われます。実際当院でも目が痒い、疲れるといった他の症状で受診された患者さんで、正常眼圧緑内障がみつかることがよくあります。初期ではなかなか自覚症状がないため、早期発見が難しい病気ですが、なにか目に異常があった場合、我慢せず早めに眼科を受診し、眼底検査等の眼科検査を受けられることをお勧めします。

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